Quiet man
・・若造、

オンナジ事云ってんじゃねえ。


神足は心の中で舌打ちする。

あんな酔っ払いの客は

ザラにいるのだろう。


ナギが客の様に俺を扱うワケだ。

そう思うと恥ずかしくて

これ以上見ていられなかった。


「ええ~、フツウそれは男の人が

女の人にするんもんよー?」


「あ! そっか!」


と、

指差した頬にチュっとしてやがる。

客は納得して

タクシーに乗ったらしい。


( さすがだね )


そしてメールを送って待っていると

彼女が嬉しそうに

裏口から飛び出して来た。


「お待たせ・・!」

「ねえ?」

「ん?」

「俺も奴らと同じだね。」


帰り道、

ぽかんとした後"見られてた"と

ピンときたらしく

フウと溜息をついた。



「・・自分からはせえへんよ。」



それ以上、

笑いもしなければ口も閉じたまま。

無言の車内、

そして家に着いた途端、即、

バスルームに直行。

出てくるなり顔も見ず、

部屋に閉じ篭ってしまった・・。


もう、このまま

眠ってしまうのだろうか?



< 80 / 254 >

この作品をシェア

pagetop