Quiet man
「・・・ん。」


朝方

目覚めた青白い光の下、

ナギは寝返りをうち

俺に背中を向けた。


夕べは・・少しムリを

させたのかもしれない。


驚いた事に彼女は・・

前のダンナしか

男を知らなかったのだ。


目に焼き付く

しなやかな肢体、

苦しそうにかぶりを振る姿、

縋る細い腕、火照った顔、

放心状態の目尻に滲む涙・・。


俺はそんなナギをまた見たくて

つい・・

何度も彼女と体を重ね、

切ない声を上げさせた。



今日が日曜日で良かったと

つくづく思う。



ナギの背中に

抱きつくのが心地いい。

腕を回すと

柔らかな髪に顔を埋めたくなる。


香水以外の

甘い香りが鼻を擽ったり、

彼女の静かな

寝息が微妙に体に伝わった。


悪戯心で耳元に息を吹きかける。



「・・・・・んっ。」



何か、狼狽える様な体の揺れに

俺は思わず・・

強く抱き締めてやっていた。







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