Quiet man
「大阪じゃ八枚切りの食パンて

あんまり売ってないんよ?」


作った朝食を取りながら

他愛のない会話を交わす。

そこまでは

"2人"を

満喫していたのだが・・。



「ねーえ。」



ベランダの花の手入れをして

いた和祇を、ノートパソコン

をいじりながら

イスに座って眺めていた時だ。


知らない女の声がしたのだ。

彼女が隣のベランダから

声を掛けられているらしい。



「彼の声、いいわね。

アタシ好きよ。」



防音壁の筈だ、

窓から漏れたのだろうか?



「あの歌でクドかれるンだもん、

誰でも堕ちるわよ___。

夕べは激しかったみたいね、

彼ってどう?」


「・・・!!」

「あ・・。」



耳を疑いながらも咄嗟に

立上がり、唖然と立ち尽くす

彼女の手を引いた。


ガラス戸を閉めてから思わず

抱き締めると腕の中にいた

和祇は一瞬、身震いした様だ。



( 何なんだ・・?)



プライベートを知られるのは

ブキミだし

最悪な気分になったりする。




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