“俺の女”
「美紀…あかりを離せ」
「え…?あ〜ごめんごめん!!」
いつの間にかあたしの手を
握っていた美紀さんは
ヒロさんに言われて離した
必死な証拠だよね
あたしたちの会話
「あかり行くぞ」
「うん」
「キャハ♪ごゆっくり〜♪」
美紀さんは何故か
ニヤけて去っていった
どうしていつもこう‥?
何もないのに
恥ずかしくなるよ
「空っぽ‥だね」
「まぁな。もう向こうに
送ってるし」
ヒロさんの部屋は
なーんにも無かった
ただでさえ
必要最低限のものしかなかった
この部屋は
もっと寂しくなっていた
唯一あった座布団に座る
…で、何をするの?
って雰囲気になる
「…おい、そこ覗くな」
……?
ちょっとの沈黙の後
急に扉に向かってヒロさんが
そう言った
扉を見ると
少しの隙間から美紀さんが見えた
「覗いてないよ♪
人聞き悪いなあ〜!
これ、差し入れ持ってきてあげたの」
「置いて早く出ていけ
ったく‥どんな趣味してんだよ」
「だから〜」
「うるせぇ。
早く行けよ」
そんな兄妹のやり取りを
見ているだけのあたし
"怖いね〜"とか
ブツブツ言いながら
あたしに手を振り
美紀さんは部屋から出ていった