“俺の女”





「次は〜‥17時3分発だから
それまで あっちで
話そ?」


川島くんは
あたしの乗る線の時刻版を確かめて
そのまま腕を引っ張った



なんでこうなるの?


おっちょこちょいにも
ほどがあるよね



けど次まで30分近くあるし
断る理由が他にない


引っ張られるまま
川島くんに付いて行った




「あかりってさ、あまり
男と一緒にいないでしょ?
学校ではね。
休憩時間に行く度
思うんだよなぁ。
いっつも一人か礼と一緒で、
男といるの見たことない。」



ベンチに座るなり
そんなことを言う川島くん


男と一緒にいないって
‥当たり前だよ


行事以外で
男子と戯れるなんてしない


ヒロさんがいるし

そもそも興味がない


話掛けられても
返事くらいで
その場を去るんだ


よく見てるな‥川島くん




「興味ないから‥」


「だと思った。だから
余計に近づきたくなるんだよ。
俺があかりの傍にいると
特別な感じになるから。」

「‥それだけで?」


「いや‥最初は噂で、
直に見て惚れて、
会う度、話す度に
好きになっていく。
けど、あかりには彼氏が
いるから友達になった。
このまま離れたくは
なかったから」






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