“俺の女”





「じゃあ あたしは
こっちだから」



歩きながら
川島くんに別れを告げた



簡単に思ってたあたしが
悪いんだよね


腕を捕まれ
足が止まった



「ちょっと話がしたい」


「‥無理だよ。
すぐの電車で帰らなきゃ
いけないから。
ごめん急ぐの‥!!」



通じることもなく
捕まれた腕に痛みを感じた


「別に用事ないんでしょ?
無理に急がなくたって
いいじゃん。
礼に言われたからって
そこまで俺のこと
拒否らなくてもさ‥」



電車が行ってしまう


早く行かなきゃ


「別に礼に何も
言われてない。
あたしの判断だよ?」


「ふーん。俺って
そんなに危険?
好きになるの我慢して
友達を選んだのに
この距離感は悲しいわ‥」


距離感‥か


川島くんが
そうさせてんじゃん


もっと普通にしてれば
男女の友情も成立するのに



「じゃあ川島くんは
あたしにどうして欲しいの?」



聞くんじゃなかった‥


そんな時間ないのに
つい言ってしまった



「ん〜‥ あ‥
電車、行ったよ?」


「うそっ?!」



気が付けば人混みが去り
あたしの乗りたい電車は
行ってしまっていた



なんてこった…




< 288 / 421 >

この作品をシェア

pagetop