ホワイトキャンバス
あの日、私は家出をした。

パパの会社のパーティーに連れていかれる時だった。

パパが忘れ物をしたので、私を玄関で待たせた瞬間があったのだ。


パパが私に背を向け、部屋の扉を開けたその時がチャンスだった。


私は靴も履かずに飛び出し、いつも送迎車の窓から見る景色を頼りに、駅まで走った。





彼に後から聞くと、私は彼のアパートの階段の下で、凍えていたのだという。



彼と出会い、一週間経った。

私はあの日のこと、彼の名前、その他様々なことを知った。



彼の名前は、湊(そう)と言った。

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