真夏の雪
雪斗「鈴に出会ってなかったらもうこの町にはいなかったかもな。


出会ってなかったら…。
私は幸せだったのかな…。


鈴「よかったです。ユキに出会えて。


嘘だ。


私の言葉は喜びと困惑に満ちていた…。

鈴「少し、歩きませんか?


私達は商店街を外れ…山の方に歩いて行った…。


雪斗「もう結構遅い時間なのに明るいよなぁ~。


鈴「もう少し暗くなったら良いですよ?


雪斗「…??


鈴「…この先に…
私のお気に入りの場所があるんです。


雪斗「へ~。


鈴「もうすぐっ。ほら、ユキっ。


整備されていない桟道を歩き…

時々転けちゃいそうになったり…


でもユキが支えてくれたから大丈夫。



次第に太陽は海に吸い込まれて…
空は暗く染まり…

やがて木々が徐々に少なくなって…



私達の町が見えてきた。


鈴「ほらっ、見てっ。


雪斗「…結構歩いた…。



そこに広がっていたのは小さく見える私達の商店街…。

右側には私の学校。
少し前に私とユキが初めて出会った海岸。

そしてその先に広がる…水平線。


雪斗「…綺麗だな。

商店街のお祭りの明かりがこの町を照らしているみたい…。

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