初恋タイムスリップ(成海side)
この子が、壊した・・・?
「本当にひどいことを、たくさん美音にしてしまったの。
許されることじゃないわ。
自分では、とめられなかったの。
とめるには、美音の前から消えるしかなかった。
成海くん、美音を幸せにしてあげて。
【幸せな家庭】というものを、経験させてあげて。
私には、
私のせいで、経験させてあげられなかったから・・・」
幸せな家庭・・・
もしかして
「美音の・・・お母さん・・ですか?」
女の子は、にこっと笑った。
そして、俺の手にオルゴールを託した。
「ずっと二人の幸せを祈ってるから」
そして、ふわっと床から浮かび出した。
え。
ええ!!
「ちょ、ちょっと待ってください!!
美音には、会ったんですか?
なんで、俺のところに・・・」
女の子は、どんどん姿が薄くなっていった。
「何か、美音に言いたいこととか
伝えてほしいこととか、ないんですか!!」
女の子は、涙を流した。
「大切なオルゴールを
壊してごめんねって伝えて・・・」
そして、ふっと女の子は姿を消した。
その時、遠くから足音が近づいてきた。
「あれ、また成海先生帰らなかったんですか?」
看護師の一言で、
いつもと変わらない朝に、
一気に引き戻された。