初恋タイムスリップ(成海side)



この子が、壊した・・・?



「本当にひどいことを、たくさん美音にしてしまったの。


許されることじゃないわ。


自分では、とめられなかったの。


とめるには、美音の前から消えるしかなかった。



成海くん、美音を幸せにしてあげて。


【幸せな家庭】というものを、経験させてあげて。


私には、


私のせいで、経験させてあげられなかったから・・・」




幸せな家庭・・・



もしかして






「美音の・・・お母さん・・ですか?」






女の子は、にこっと笑った。


そして、俺の手にオルゴールを託した。



「ずっと二人の幸せを祈ってるから」



そして、ふわっと床から浮かび出した。




え。


ええ!!




「ちょ、ちょっと待ってください!!


美音には、会ったんですか?

なんで、俺のところに・・・」


女の子は、どんどん姿が薄くなっていった。




「何か、美音に言いたいこととか

伝えてほしいこととか、ないんですか!!」




女の子は、涙を流した。




「大切なオルゴールを

壊してごめんねって伝えて・・・」





そして、ふっと女の子は姿を消した。





その時、遠くから足音が近づいてきた。



「あれ、また成海先生帰らなかったんですか?」




看護師の一言で、


いつもと変わらない朝に、

一気に引き戻された。





< 120 / 143 >

この作品をシェア

pagetop