初恋タイムスリップ(成海side)
3人はまた黙った。
しばらく黙り込んでいたら、
「もう…やめようよ、こんなこと…」
と、一人がつぶやいた。
「りっ…鈴!」
前野に『鈴(りん)』と呼ばれた女子は、
泣き出した。
「桜木さんが…かわいそう…
上履き隠したり
ジャージ便器に突っ込んだり、
だから毎日ジャージも上履きも桜木さん持って帰っているんじゃない!
毎朝毎朝、こんな紙を入れて…
桜木さん、絶対誰がやってるのかわかってるはずなのに、ずっと我慢して…
あんなに痩せちゃって…
かわいそうだと思わないの?
私もう…疲れた…
もう私、仲間からはぶられてもいいよ。
私は……もうやめる」
そして教室から出て行ってしまった。
「お前ら…そんなこと美音にしてたのか。
いつから?いつからやってたんだよ」
前野は目をそらした。
「成海くんが私のチョコ受け取ってくれなかったのが悪いのよ。
全部成海くんがいけないのよ!
桜木さんなんかと付き合うから!
私許さないって言ったでしょ。
だから、成海くんが『大切にしたい彼女』を
精神的に追い詰めてやったのよ。
あんなに痩せて、
そして『別れたい』って言ったんでしょ?桜木さんが。
作成成功だわ」
ふっと前野が笑った。