初恋タイムスリップ(成海side)
俺には前野が悪魔に見えた。
「お前は、かわいそうな奴だな」
そう俺が言うと、前野がギロッと睨んできた。
「人を好きになる気持ちを
履き違えている。
好きな人を困らせて、どんどん自分を嫌いにさせている事に気づけ。
俺の好きな子を傷つけた奴なんか、
俺は絶対に好きになんかならない」
前野は今にも泣きそうだった。
「私の事、嫌いなの?」
嫌い…?
そんなもんじゃね−よ。
「嫌いだとか、憎いとか
そんな気持ちを通り越して、
お前になんか、なんの感情もない」
俺はそう言い捨てて、
教室を出た。
悔しかった。
美音がそんな事をされている事に
今頃気づいた自分が、
悔しくて悔しくて
情けなかった。