初恋タイムスリップ(成海side)
階段を降りると、さっきの子が立っていた。
そして俺に近づいてきた。
「本当にごめんなさい」
彼女は俯きがちに謝ってきた。
「いや、救われたよ。
その……」
俺は彼女の名札を見た。
「……林に」
林は、首を振った。
「ずっと言いなりになっている自分が情けなかった。
悪い事をしている友達を注意できなくて。
注意したら、仲間外れにされそうだし、
もしかしたら今度は自分がやられるかもって思ったら、怖くて。
でも、さっき言えてスッキリした。
私、桜木さんと同じクラスだから、
また何か変なことされてたら、
私、今度は注意できるから。
私…変わりたい。ダメな自分を変えたい。
ほんと…ごめんね」
林は少し頭を下げてから、階段を登っていった。
ダメな自分か……
それを言ったら、
俺も同じだ。
全然美音の辛さを気づけなかったし
守ってやることもできなかった。
声をかけるだけで、
待つだけで、
俺は………