恋愛の条件
「何とか基本計画だけは間に合いましたね?」

お昼休憩も返上でプレゼン資料にかかりきりだった奈央と佐野は、給湯室で山内課長が差し入れしてくれたサンドウィッチをわけていた。

「えぇ、何とかね。開発工程は技術チームとのミーティングの後になるけど、今日残業大丈夫なの?」

「私は大丈夫です。それより、広瀬さんの方が大丈夫ですか?」

「え?私?」

サンドウィッチをハムハムとほうばりながら佐野が聞いてくる。

こんな姿も小動物のようでかわいい。

「だって、あの片桐キャップですよ?」

「そうなのよねぇ。厳しいからなぁ、あの人は……」

能面のような冷たさの片桐の顔を思い出す。

「あの人の周りだけ温度が低いような気がします。キレイな顔している分なおさら怖いです」

「あぁ、わかる……それ」

二人でクスクス笑っていると、コンコンとドアが鳴り、五十嵐が入ってきた。

「あ~あ、俺も一緒に食べたかったのに」

落胆する五十嵐に、佐野がどうぞ、とサンドウィッチのお皿を差し出す。

「いいです。片桐さんがこられましたから」

五十嵐が恨めしそうにお皿を見つめる。

「もう?まだ15分前じゃない?」

「とりあえず行きましょう。あの人待たせると怖いんで……」

「そうね……」

佐野に片付けをお願いし、奈央はミーティングルームへと急いだ。


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