恋愛の条件
「あなたの言っていることは正しいと思いますが、一つ撤回していただきたい。広瀬は無能なスタッフではありません。彼女なりに考えがあるのでしょう。少し話を聞いてください。」


(修……)


修一の思わぬ言葉に、奈央の心がトクンと鳴る。

「わかった、聞こう」

片桐は片づけていた資料をテーブルに置き、奈央をまっすぐに見た。

その威圧感に一瞬身じろぐが、修一の優しい眼差しが奈央に冷静さを取り戻させた。

「笹倉課長は、今は、とおっしゃられたのです。株主総会の後であれば、他の部署も変更案を出してきますし、その時期まで保留にしても支障のないものを減額したのです」

奈央は一呼吸おき、ことばを続ける。

次に言うことを片桐は何と思うか。

「もし、今片桐さんがこの予算変更通りに、と詰め寄れば、あのプライドの高い課長は面白くないでしょう。片桐さんの言う「年寄り」を敵に回しては増額事態認めてもらえません」

「なるほど?で、そのプライドの高い笹倉課長は後で増額を認めると?」

「はい」

「その根拠は?」

畳み掛けるように片桐が問う。


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