恋愛の条件
居酒屋を出ると、桜の香りが春風に乗って漂う。

つい昨夜のことが思い出される。


(ここを出て、キスをされた……そしてタクシーで連れて行かれ……)


奈央の体温が一気に上がる。

「ダメ、ダメ!明日のことに集中しないと……」

大きなプレゼンな上に、メンバーがメンバーだ。

余計なことは考えていられない。

明日のことを思うと足取りが重くなる奈央だったが、そんな自分を戒めるように冷たい夜風の中背筋を伸ばした。


(これで仕事もグダグダだったら最悪だわ)


仕事だけはしっかりしないと、それが今自分の一番誇れるところなんだ、そう言い聞かせて帰路についた。


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