恋愛の条件
「何で私なの?何でこんなことばかりするのよ?修の言ってることも、やってることも全っ然理解できない!!」

興奮する奈央とは対称的に、修一は奈央のデスクにもたれ気だるそうに髪をかき上げた。

「ホントお前って“何で?何で?”ばっかだな?」

「き、聞きたくもなるわよっ」

「なぁ、好きな女に触れるのに理由なんているわけ?」

「----えっ?」

修一の表情が急に真面目なり、奈央を射抜くように真っ直ぐ見つめた。

「好きな女にキスするのに理由がいるのかよ?」


(今、好きって……?)


予想外の修一の言葉に奈央はどう答えていいのかわからない。

二人の間に沈黙が流れる。


(どういう、こと……?)


シンと静まり返ったオフィスに急に電話が鳴り始め、奈央ははっと我に返った。

奈央の戸惑う表情に修一は寂しく笑い、振りほどかれたその手でもう一度優しく彼女の手を握った。

「修……?」

「まぁ、お前は俺がこう言ったところで信じないだろうけどな……」


(何で修がそんな顔すんの?ひどいことされて傷ついてんのはこっちよ……なのに、何で修がそんな顔するの?)


「なぁ、奈央、どうしたらお前に伝わる?」


(今さらそんなこと言わないでよ……
 
そんな言葉で私を惑わさないでよ……)


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