恋愛の条件
「あの……」

「そんな顔をするな。これでもかなり我慢はしているんだからな?」

片桐が奈央の肩にポンと手を置き身を引こうとした時、奈央は後ろから片桐に抱きついた。

「お願い……」

「広瀬さん?」

「いいから、我慢なんてしなくていいから……」

奈央の声は振り絞るように片桐の背中に囁く。

「何もわからなくなるくらいに片桐さんでいっぱいにしてください」

そのことばにビクンと彼の身体が揺れた。

「いいのか?次は遠慮しないって言ったはずだ」

「…………」

抱きしめる奈央の手にぎゅっと力が入った。

それが奈央の答えだと解釈したのか、片桐の声が断定的に響く。

「手加減はしないぞ?」

片桐は奈央を前へと引き寄せ、もう一度その唇を捉える。

先ほどの甘く優しいキスとは異なり、咽かえりそうになるくらい激しく奈央の唇に吸いついた。


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