恋愛の条件
奈央は医務室のベッドで目を覚ました。

「……ん……」

「奈央?起きたの?」

目を開くと心配そうに自分を見つめる裕樹の顔があった。

「ここは?」

「医務室だよ?」

あぁ、夢だったんだ。

よかった、と安堵して、何故自分が医務室のベッドに寝ているの頭が回らない。

「奈央倒れたの覚えてる?」


(倒れた?どうして……?)


理由を思い出したとき、奈央はそれが夢じゃないことに気付いた。

「たまたま海外開発に寄ったら、千夏が…佐野さんがすごい勢いで助けて~って泣きついてくるからびっくりしたよ」

「----私、行かなきゃ……」

奈央はクラっとくる頭に手を置き、起き上がる。

「ちょっ、そんな状態でどこに!?頭打ってるから安静にしてないと」

「行かなきゃ、修を……」

「奈央!」

「だって、今度こそ本当に……」

「落ち着けって!」

裕樹は奈央を無理矢理ベッドに座らせた。

「裕樹は、裕樹は知っていたの?」

「えっ?」

「修が2ヵ月しかいないって言うことを……?」

裕樹は申し訳なさそうに奈央から視線を落とす。

「----あぁ」

「どうして、どうして教えてくれなかったのっ?」

「ごめん、黒沢に口止めされていて」

「そんなの、ひどい……知っていたら、知っていたら……」

涙で声が掠れ、むせ返る。

「知っていたらどうしてた?好きにならないようにしてた?」

「………」

裕樹は奈央の頭に濡れたタオルをあて落ち着かせた。


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