恋愛の条件
(ダメ……諦めれるわけがない。また私の前からいなくなるってわかっていてももうどうしようもないくらい好きになってる)


「どうしてよっ!!またいなくなるなら何であんなことするのよっ」

奈央は今まで押し殺してきた感情を一気に修一にぶつけた。

涙に濡れた顔を修一のシャツに押し付け、しゃくりを上げて泣く。

「急にいなくなって、急に現われて、私を振り回して……」

「奈央!聞けよっ!」

抱きしめていた手が離れ、奈央の肩を掴んで離そうとする。

「聞かないっ!どうせまた私を置いていなくなるくせにっ」

嫌々と言って頭を振って抵抗すれば、涙が散った。

「黙ってたのは悪かったけど、俺は……」

「聞かないって言ってるでしょう!」

「いいから、聞け……っ」

取り乱す奈央を宥めようとして、修一は奈央をベッドに押し倒した。

骨が軋むほど強く手首を押さえられ、顔を背けようと横を向けば、ぐっと顎を捉え視線を外すことを許されない。

苦しくて息が止まりそうになる。

いっそこのまま息が止まってくれたら楽になれるのに。

「俺は、今回2ヵ月でも戻ってきたのは、2ヵ月だと分かっていて戻って来たの
はお前をチーフとして育てるためじゃない」

新しい涙を零す奈央の耳に酷く優しい声が聞えてくる。

だが、今の奈央にはその意味が理解できない。

理解をしたくないのだ。

決定的なことを言われたくないから。


(お願い何も言わないで……もう傷つける言葉なんていらない……)


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