恋愛の条件
「人がどんな想いをしてたかわかってんのっ!?」

奈央は修一を思いっきり突き飛ばしてベッドから起き上がった。

「ってぇなぁ……何すんだよっ!?」

「もう!勝手なことばっかり言って!自分だって向こうに彼女いたんでしょっ?サイバーマイクロ社に美人の彼女がねっ!?」

「俺だってお前のこと忘れようと思った時があったんだよ!それに……」

「何よ?」

「男には下半身の事情ってもんがあるだろ?」

さも男には当然というように言ってのける。

「さ、サイテー」

こういうヤツだとわかっていた、わかっていたけど。

感動の告白を受けているはずなのにどうしてこんな展開になるのだろうか、と奈央は脱力した。

「今は……?」

「誰に聞いたか知らねぇけど、そんなのとっくの昔に別れてる」

「だって五十嵐君が出張の時に修が会いに行ってるって」

「五十嵐か……今度絶対にしばく」

「あ、あの、五十嵐君に悪気はなかったのよ?噂で聞いたって……」

修一がぐっと拳を握るのを見て奈央は慌てて誤魔化す。

「悪気ありまくりだろ?あのヤロー奈央のことエロイ目で見てたしな。余計なことしやがって」

五十嵐がエロイ目で自分を?そっちの方に気をとられそうになって、ハッと話を元に戻した。

「余計なことって何よ!?」

「取引先にいるんだから性がねぇだろっ?会うことは会ったさ」

「それだけ?」

「それだけだ……俺はニューヨークに行っても奈央のことばかり考えてた」

「ウソよ……」

「ウソじゃねぇって!」

「だって……修は、修は……」

修一の顔がまた至近距離に近づいてきて、奈央はこの甘ったるい空気にどうしていいかわからない。

言いたいことは山のようにあるのにどう言葉に表せばいいのか分からない。



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