恋愛の条件
「なぁ、俺が奈央のこと好きってまだ信じられないわけ?」

「あんたが勝手なことばかり言うからでしょ」

「なぁ、奈央?」

修一の指が奈央の頬に触れる。

先ほどから優しく撫でていたそれとは異なり、肌がざわめいた。

「な、何よ……」

「もうそろそろ抱きしめてキスしていい?」

「なっ///」

視線を合わせたままそんなことを聞いてくるから、どう答えていいか分からない。

いっそのこと、いつものように耳元で囁かれた方が、それはそれでまた困るのだが、まだましだ。

「すっげぇ奈央に触りたい」

「さっきから触ってるじゃない!わ、私はまだ心の整理が……」

「何だよ、今さら。もう我慢できねぇ……」

一度起き上がった身体は簡単に押し倒され、手首がシーツに縫い付けられる。

「だって……そんな……んん……ん……」

言葉尻をとられ、覆いかぶすすように唇を奪われた。

「んぁ……しゅ、う……」

「やっと手に入れたんだ、離すかよ……」

「んん、ちょ……」

「黙れ……」

口蓋を擽るように舌が動き、奈央が何か言おうとすると、その舌を絡め取る。

深く貪られ、呼吸がままならない。

やっと唇が開放されたころには、奈央の身体はぐったりと力が抜けていた。

濡れた唇を修一の親指が拭う。

ビクンと身体を揺らせば、二つの双眸が満足そうに笑った。

「今回の仕事は話が出た時点ですぐに引き受けた。奈央と同じ部署になるって聞いた時、俺は誓ったんだ。今度は絶対にお前を手放したりしないって、何が何でも手に入れるって」

「そ、んな勝手な……んん……」

奈央が口を開けば、その口をまた修一の唇で塞がれる。

そして、人に黙れと言いながら自分は言葉を続けた。

「勝手でも、奈央を傷つけてでも、俺は奈央が欲しかった。山下と付き合っているって聞いた時、山下から奪ってでも奈央が欲しいって思った」


(……ぅ……)


そんな風にストレートに言われたら許さなければいけなくなる。

そんな瞳でみられたら、もっと言ってやりたいことがあるのに言えなくなる。


「ズルイ……」

何も反論することができず、喉をついて出たことばはそれ一言だった。


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