恋愛の条件
女とは年をとればとるほど欲張りになるのだろうか。

どっちも手放したくないと思うのは我ままなのだろうか。

いや、ちがう、女は年をとればとるほど守りに入るのだ。

奈央はそう自分に言い聞かせて、ぐっと拳を握る。


(修、分かってよ……ちゃんと未来が保障されていないのに、不安なのに、あなたの胸に飛び込んでいくにはすごく勇気がいるの…… )


頭の中でシミュレーションばかりしてしまう。

もし、修一が自分に飽きたら……

この関係がダメになった時、仕事も何もかも失った状態でどうしたらいいんだろう?

周囲は何て思うだろう?

そんな余計なことばかり考えてしまう。


(修の言葉が本当なら、ちゃんと私を安心させてよ……
 全てを投げだしてでもついて行きたいと思わせてよ……)


奈央は改めて修一の部屋を見渡した。

本当に2ヵ月しかいない予定だったのだろう。

物が全然ない。

だが、何と嫌味なヤツなのだろうか、

2ヵ月しかいないならレ○パレスでも借りてればいいものを。

賃貸とはいえ、こんないい部屋を、しかもこの50インチの液晶テレビはわざわざ買ったのだろうか?

どこまでムカつくヤツなんだと、奈央はこの部屋に悪態をついた。


(でも、こんな何もない部屋で、たった2ヶ月の為に、私の為に戻って来てくれたの? )


奈央はソファーとテレビしかないこのリビングで、自分の気持ちを決めることができず、ただ修一の帰りを待った。


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