恋愛の条件
「奈央、どうした?」

「修……私、自分が分からない」

奈央はこめかみに手をおいて考えた。

「何が……?」

「修に言われたことはすごくすごく嬉しかったけど……」

「クス、チーフのポジションも捨てがたいって?」

修一は何もかも見通したような表情で奈央を見た。

「えっ……?」

「今日俺のこと聞いた時点で山内課長からチーフのポストについて言われたんだろ?」

「知ってたの?」

奈央は瞠目し、修一を見た。

「俺がニューヨークから呼び戻された理由は海外開発の方が落ち着くまでに次のチーフ育てるためだ。知らないはずないだろ?」

「私……」

「奈央はどうしたい……?」

「そ、それがわからないから困ってるんじゃないっ……」

「俺は言ったよな?奈央を連れていくために戻ってきたって。奈央をチーフとして育てるために戻ってきたんじゃない。それは変わらないし、もう絶対に奈央を手放す気はない」

奈央の心を読むように修一は断定的に言葉を続ける。

「でも、奈央と一緒に仕事して少し考え方が変わったところもあった。お前をこのまま仕事を辞めさせてまで連れて行っていいのかって。これはチーフとしての見解だからな?能力ある人間の芽を摘んでしまっていいのかってな……」

修一は奈央を引きよせ、膝の上に座らせた。


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