恋愛の条件
「修……とりあえず、服着て?ちゃんと話したいの」

「???いいけど、奈央は?」

「あっ……うん……」

「俺のシャツでいい?」

「ありがと……」


渡されたシャツにはちゃんとアイロンがかけてある。

修一が自分でアイロンをかけているのだろうか。

その姿を想像して、似合わない、と苦笑する。

この部屋もモノが何もないだけじゃない。

キレイに掃除されているのがわかる。

結婚したら自分よりも家事とかしてくれそう、なんて考えてしまう。


(はっ!!な、何考えてんのよ!!)


「お前……エッロ……」

修一が急にクスリと満足そうに笑う。

「……えっ?」

「裸に男のシャツ一枚ってベタだけど、男の夢だもんなぁ~♪」

「なっ///私は真面目な話があるのっ!!」

脚に手を這わせる修一の手を払い、彼を睨む。

「さっきから何だよ?奈央は何が言いたいわけ?」


(私は……私は……って言うか私は何がしたいの……?

あれ……?)


チーフのポジションにしがみ付きたいわけでもない。

それはそれは魅力的なオファーだけど。

ただ、やっと手に入りそうな女としての幸せを捨ててまで欲しいポジションではない。

奈央は仕事は好きだが、そこまでキャリア志向でもないのだ。


じゃあ、そもそも女の幸せって何なんだろうか。


ここで修一を選んだからといって、好きな男を選んだからといって幸せになれるという保障があるわけじゃない。

でも、仕事に生きる女というのも寂しい。


(何だか自分がわからない……私はどうしたいの……?)


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