恋愛の条件
「さ、佐野さん?」

「あれ、泣いた♪」

「沙希!」

酔っぱらって調子に乗っていた奈央もさすがに自分の失言に気付き、ごめんねと佐野を宥める。

「何よ、あんただってサイズがどうとか言いそうになってたじゃん」

「そ、そうだけど……佐野さん、大丈夫?」

「な、何でもないです。広瀬さんが悪いんじゃなくて、私がただ落ち込んでいるだけだから……グス……」

「落ち込む?」

「広瀬さんみたいに綺麗じゃないし、スタイルも良くないし、山下さんに比べられたらっていつも思ってて」

「そんな、裕樹は比べたりしないでしょう。というか、佐野さんすごくかわいいし十分魅力的じゃない!」

佐野はぶんぶんと頭を振って涙を散らす。

佐野もかなり飲んでいたが、奈央の泣き上戸が移ったのだろうか?

「ひ、広瀬さんは贅沢です!山下さんにも想われて、黒沢さんにもあんなに愛されて大切にしてもらっているのに……」

「佐野さん、何か勘違いしていない?裕樹はもう私のことなんて何とも想っていないし、今は佐野さんと真剣に付き合っているんだから」

「わ、わかってます。こんなの子供じみたヤキモチだって。でも広瀬さん、すごく素敵でかわいいから……グス……」

「わ、私が?」

あぁ、そう言えば前に佐野は自分に憧れていたと言ってくれたことがある。

「ごめんなさい…グス…取り乱したりして」

沙希の爆弾発言は佐野の中で燻っていた不安と不満の導火線に火をつけたようで、酒の勢いも手伝ってか、佐野の涙は止まらない。



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