恋愛の条件
「ねぇ、ちょっと……」

「チーフ命令!」

腑に落ちない奈央の言葉を遮り、修一は冷やかにそう一言言い放った。

「わかったわよ!やればいいんですねっ、黒沢チーフ!」

奈央はわざと語尾を強調し、嫌味っぽく返事をしてみせた。

修一は当然と言った顔で自分のデスクに戻り、自分の作業を始めている。

こんな事務作業よりやらなきゃいけないことがもっとあるのではないだろうか。

抱えている大きな案件は、ノースアメリカだけでもかなりある。


(時間もないのに、何考えてるのよ……
もしかして私に対する嫌がらせ?)


反論したいが、修一は一応奈央の上司だ。


上司命令とあっては従わざるを得ない。



< 63 / 385 >

この作品をシェア

pagetop