恋愛の条件
奈央は苛立ちと頭痛をこらえ、午前中の間に全ての書類の分析を完璧にまとめ、修一に提出した。

「チーフ、できました」

「サンキュ♪」

「ランチに行ってもいいでしょうか?」

「あぁ、もうお昼か?ちょっと待って?電話がかかってきた……」

「はい?」

俺も一緒にランチ行くから、と言うと、バイブ音がする携帯を胸ポケットから取り出した。

「Hello? Yeah, Shu, speaking. Si……Yo dije dos miles por favor.」

修一は奈央をその場に待たせ、流ちょうな英語にスペイン語を混ぜて電話に応えた。

ここの部署で英語が話せるのは珍しくない。

奈央も日常会話程度なら話すことができる。

いつの間にスペイン語まで話せるようになったのだろうか、とつい会話に耳をとられた。


(ちょっと……かっこいいって思っちゃうじゃない)


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