恋愛の条件


定時も過ぎ、奈央が帰ろうとた時、まだ仕事中の修一に呼び止められた。

「何でしょうか?」

奈央は敢えて敬語を使った。

「このイーストアジアの分析は殆ど広瀬さんがしたんだろ?」

「はっ?何のことしょうか?」

「中身を見ればすぐにわかる」

「アウトラインの作り方を少し教えてあげただけです」

「今日は見逃すが、今後絶対にこんなことするな!」

修一の頭ごなしの言いように憤りを感じ、奈央は技と使っていた敬語も忘れ反論した。

「どうしてよ?分からなくて困っていたから少し手伝ってあげただけでしょう?」

「お前のは手伝ってあげたんじゃなくて、彼女の仕事を代わりにしてやっただけだ。結果この子には何の力にもなってない。何の為にこのクソ忙しい中、派遣に頼まずそれぞれに分析を担当させたと思っているんだ?」

声を荒げず、静かに低く言葉を運ぶ方が人に威圧感を与える。

修一が故意にしているとは思えないが、奈央は反論もできず、表情をこわばらせた。

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