ボクらのオキテ
私は、その後のことを聞いていなかった。


“ハヤサカ”の右手の甲の傷痕を見てしまったからだ。


見覚えのある、傷痕。


えっと...、
記憶を掘り起こす。


“いたい?いたいよね、ごめんね、ごめんね...”


幼いころの記憶が蘇る。


私の前に、手を血だらけにした男の子が立っている。


零くん、だ。


そして零くんの名字は、早坂、だ。


私ははっとした。


たった今学級委員に選ばれた男の子は、
昔隣に住んでいた、早坂零くんだったのだ。
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