バケバケ2
「ずいぶん人気のないところだな。」
俺たちは灰音サーチャーに従い、建物の裏側にやってきた。
「アプリによると洋子はこの辺りにいるはずなんだけど…」
「いないわよぅ?」
「おかしいなー…」
俺は辺りを見回した。
すると、気になるものを見つけた。
「おい、エレジー。あれ…」
「なによ?…あれは」
黒い箱だった。
「バケバコだ…たぶん洋子はこの中に…」
俺はバケバコを拾い上げ、蓋を開けようとした。
その時、何が俺の目の前を通り過ぎ、俺の手の中から箱が消えた。
「この箱は渡さないよ…」
「誰だ!」
俺のすぐ隣に黒い箱を持った少女が立っていた。
「さっき名乗ったばかりなのに、また名乗るなんて。私はカナリアだよ。」
「カナリア…?」