ひだまりの花
今日もまた、いつものように本を読みふけった。
やわらかな日差しと、たまに吹く春風が
華澄の長い髪をふわりとかきあげる。
…どれくらい読んだのだろう。
チャイムの音で我に返った。
ずっと本を読んでいたせいか、
頭がぼーっとする。
いつの間にか瞼も重い。
本を鞄にしまって、壁に寄りかかった。
壁に寄りかかると、入り口からは完全に死角になる。
―――少し、寝ようかな。見つからないだろうし。
華澄はゆっくり息を吐いて目を閉じた。
そのまま…
眠り込んだ。
もう、家にいるみたいだ。
でもそれくらい、
ここは安心できる場所。