はらり、ひとひら。


**椎名家**


【ゴンside】


アンズの部屋は、アンズの匂いでいっぱいだ。


心臓あたりが むずがゆくなるけどすごく安心するアンズの匂い。


「おい、子狸。お前、いつまでここに居るつもりだ」


「・・・わかんないけど」


おいら・・・女子(おなご)に助け求めたりして何やってんだろ。


自分が情けない。これじゃ本末転倒だ。


強くなるって、決めたじゃないか。

     
姉上が、死んだときから────・・・。



「お前は弱いな」


窓辺から降ってきた声に、言い返せない。


嘲笑うように瑠璃色の目が細められ、豊かな尻尾はふさふさと扇のように開いたり閉じたりする。


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