はらり、ひとひら。
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『見つけた…』
夢の中で、朧げな声が聞えた。
けれど、睡魔に勝てるわけもなく。
私の記憶の片隅に静かに刻まれただけ。
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秋晴れの朝。
「…ゴン?」
夜、傍にいたはずの温度はもうそこにはなくて。私の声じゃ届かなかった、と愕然とする。
「ゴン!どこ!?」
叫んでも、叫んでも、私の視界には現れなくて。
気付いたときにはもう、走り出していた。