はらり、ひとひら。
別にとって食いやしないのに。
ちらっと物陰の小さな妖と目が合って、おはようと手を振るとやっぱり逃げられてしまった。あー、残念。ま、いっか。
ぼーっと空を眺めたり、ぶらついていると、足音が聞こえた。何やらこちらへ近づいてくるようだ。
「り、龍神殿。大変でございます」
「ん?キミ誰だっけ」
「私はそこらの弱き妖です、…ってそんなことよりも!」
兎が二つ脚で立って、目元に布面を巻いたみたいな変わった姿の妖に告げられた言葉に、自分の目が輝くのがわかった。
「人の子が森で迷ったようなのです」
辰の刻。午前八時過ぎ。なんだか、面白いことが起きそうな予感。
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「あれでございます」
「あ、本当だ」
ウサ吉くんの指差す先には、ぶすっとむくれた人間の子どもが座り込んでいた。まだ随分小さい女子のようだ。
「このままでは悪い妖や神に捕まり、食われてしまいます」