はらり、ひとひら。
なんだか、肩の重みが一気に降りたような感じだ。少し外の空気を吸おうと廊下に出たところでいやな気配を察知。
「やるじゃん真澄~っ」
「うわ……」
「さすが俺の弟? って感じ? 『…失うわけには、いかないんだ』ってイッケメンやだ何もう抱いてーーーーっぶふぉ!???」
「黙ってくれないかな…」
拳を使ってしまったがこれはある意味、正当防衛。千鶴兄さんは脳天を押さえ涙目だが、それでも廊下をのた打ち回って笑い転げそうな勢いだ。
「だってお前っ、かっこよすぎだろ、そりゃモテるわ!」
懲りないな。もう一発キメるか。
「待って褒めたんだけど今は!? わかったわかった! 悪かったって! な!? その手を下げろ!」
「…はあ」
千鶴兄さんこそ、さっきまでの真面目っぽさを普段から前面に出してほしいんだけど。
そうすれば…よくわからないけど、女の子にだってモテるんじゃないか。
「はー…まあ冗談はこれぐらいにしとくか」
「…帰らないってことは、なにかまだ話があるんでしょ」
「察しがいいじゃん」
「当たり前。何回も会合重ねたらそれぐらいわかる」
「んあー、生意気っ」
前髪をひどいことにされたが、もはや抵抗するまい。
広間から盆や空の湯呑を抱え、使用人が会釈しながらぞろぞろと廊下を足早に過ぎていく。
「…どっか空き部屋で話すか」
それもそうだ、と賛同して俺はあまり人を通さない自室に千鶴兄さんを案内して、灯雅には廊下で控えているよう話したけれど千鶴兄さんが「式神も一応連れとけ」と言ったのでそうすることにした。
・ ・ ・
「相変わらずドシンプルっつーか…殺風景だなおい」
「そこらへん、適当に座って」
「エロ本とか置いてねーの?」
朝比奈と同じこと言わないでよ。
座布団を横っ面めがけて放り投げると千鶴兄さんは今度こそキャッチし、直撃は免れたようだった。無念。