[完]大人の恋の始め方
目をそっと開くと、
自分の着ていたパーカーをあたしに掛け、抱きしめている優斗さんの姿が写った。
「…優」
「ごめん。こんなつもりじゃなかったんだ」
優斗さんは、力を少し強める。
あたしは、この温かさに、やっと安心出来た。
優斗さんは、少しだけど、お酒の匂いがした。
だからきっと、少し酔ってしまっていたのではないかと、あたしは考えた。
そのうちに、頭の回転が悪くなり、瞼が落ちてきた。
それはきっと、安心したからだろう。
「杏里。ごめんな。でも俺、本当に優しくないから、覚悟しろよ?」
今にも切れそうな意識の中で聞こえた言葉。
あたしは、その言葉に頷いて、意識を手放した。
――――――………
目を覚ますと、あたしはベッドの中だった。
服や下着は着ている。
でも、なんとなくフィットしていない。
その違和感で、あたしは昨日の事を思い出した。
「…………」
あたし、優斗さんと、キスしちゃったんだよね…?
てか、これ着せてくれたのって、やっぱり優斗さん…?
と、いうことは…
あたしの全裸を優斗さんに見られた??!!
あたしは、即座に飛び起き、リビングに入った。