さらば、ヒャッハー


冬月にばかり任せておけないと着いてきた秋月の確証だ。


秋月がこの山に来るのは二度目。しかもつい先日のこと。鬼が出たとの情報があり、童子切安綱を持つ秋月が退治したばかりだった。


だから、言えたのだ。もうこの山には強い妖怪――退治屋に刃向かうような猛者はいないと。


野槌という秋月が認知しなかった妖怪もいるにしろ、鬼退治の際に派手に暴れても、野槌は愚か、ここの妖怪は全て「巻き込まれたくない」と隠れる者ばかり。野槌以外の危険対象はいないと見ていい。


話の順序が逆になるが、そもそも、二人がここに野槌がいると確証を持ったのは、日頃の行いの成果だったりする。


行いが良いというわけではなく、溝出に対しての扱い方か。一日一殺らしく、溝出が秋月たちに斬られない時はない。


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