さらば、ヒャッハー
秋月の記憶地図は正しいらしく、少し歩いた程度で水の音が聞こえた。その音に招かれるように行けば、坂を下る浅い川。天然水に相応しい透明さでせらせら流れる山川は、さぞや渇ききった身に潤いを与えてくれるだろう。
一休みの願い叶ったり、さあ、早速水を――
「「……」」
飲もうとする体が硬直してしまう驚きがあった。
びっくり箱ほどでないにしろ、誰もいないと思って開けたらいたような『びくっ』とした感覚に似ている。
「……」
相手とて秋月たちを見ている。めっちゃ見ている。ガン見という奴で、物珍しさというよりは見定めているような。
そんな目がずかずかと近づいてくるのだ。ばしゃばしゃと川を横断して。
近づいてきたのは一目で人間ではないと分かる。妖怪とは言うまでもなく、ガン見しながら近づくだなんてただ事ではないと退治屋たちは刀を構えるなりすればいいが――しなかったのは、大した脅威に見えなかったからか。