さらば、ヒャッハー
緑の血糊は、ペンキをぶちまけたようで冗談めいているが、歴とした体内の生命液だとは野槌の悲鳴が証拠となる。
痛覚が脳を焼く。
恨みがましいほどに、斬られた痛みを律儀に伝えてくる管が見えるならば取り除きたい。
「き、あぁぁっ!」
奇声と悲鳴の区別は、感情によって決まる。先ほどの奇声と違い、ああ、とてもよく泣いているじゃないか。
涙を出す部位がないというのに、こんなにも“泣いている”と思わせる声。鉄琴を砕いた音みたいだ、とてつもなく耳障り。
早く息の根を止めたいところだが、この悲鳴がいい踏ん切りだと、冬月は刀を抜いて下がった。
その見切りは当たりらしく、野槌がやけに大きく体をばたつかせた。クロールでもするような、長い横幅の両端がもがきじたばたと。冬月が刀を抜いていなければ、あのじたばたに“ついでとして”、弾き飛ばされていたであろう。