さらば、ヒャッハー
「柔いんやけど、致命傷にはならんねぇ。デカブツなだけあるわぁ」
秋月の傍に控えるようにして、冬月が斬った感想を一つ。
面をずらしたままだったと、顔についた返り血を冬月は袖で拭いた。色に相応しい青臭い匂いが鼻をなじる。
ついで、蜘蛛切りについた血を振るい払う。払われた血は下へ、血を被った雑草がより緑になり、粘着ある液の重さに耐えかねて頭を垂れる。
「いっ、いたっ、ああぁっ」
身をよじっては叫ぶ野槌は、悲鳴をあげる分だけ、まだ“余裕”があるということだ。絶命が遠い“粋の良さ”は三枚におろさねば、まだびちびちと動きそうだ。
野槌にとって蜘蛛切りの傷など、ただの切り傷なんだろう。指先を葉で切った程度のもの。内臓にまで届かないのは、規格外に内臓を囲う肉包装が有り余るほどあるからだ。