さらば、ヒャッハー


土やら石やらをボリボリ噛み砕く野槌を前に、冬月は蜘蛛切りを向けた。糸ほどの幅しか開かない瞼、内側からかきむしりたいほどのむずむずに、洗濯機の中で洗浄したいほどの体、数多の不愉快感を身に宿しながらも、冬月は構えてみせた。


「ああ゛ん?乙女に刃向けるだなんて何事だ、ゴルアァァっ。――って、いいえ、ううん。あんまり調子乗っていると頭からカリカリ食べちゃうゾっ」


なぜ、今更なんだ。
清く美しいのづっちを維持してはいたいらしく、言葉ではまたおねえに戻るが、歯がわきわきと蠢くさまは怖いだけしかない。


それでも引かない冬月は、その構えだけで殺意を纏っているように見えた。


「もう、可愛いのにもったいない。でものづっちに罪はないわよねん。正当防衛、正当防衛。だから清く美しいのづっちは、なあんにも悪くないわあぁ。草葉の陰から見守ってくれている彼も、許してくれるはず。だ、か、ら――死ねや、おどれえぇぇっ!」


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