さらば、ヒャッハー


時が止まる声は、今までの助動作を無意味にした。


どこまでも耳障りな、人を皮肉る音色を含み、聞いただけでそいつが尖った歯を剥き出しに嘲笑うのが頭に出てくる――


「一人で抜くなよ、そんなにイイんなら俺もまぜろや。ぶっ刺すのは得意なんだぜぇ、俺」


冬月の視界では捉えられないが、秋月にははっきりと分かった。


羽織りに袴。目を包帯で覆い、イメージ通りに笑う嫌な奴がそこにいた。


秋月たちから斜め下、野槌にしてみれば真横。斜面に立つとあっては、さぞやバランスが取りづらかろう高さがある履き物でも微動だにしなく、風変わりたるそれをごくごく自然に藤馬は履きこなす。


< 158 / 237 >

この作品をシェア

pagetop