さらば、ヒャッハー
まだ渉の人間らしさがあるのは藤馬という存在がいたからか。なぜ渉が藤馬に心を許すような真似をしているかは分からないが、察するに“明白な意味での気兼ねなさ”があってのことか。
渉が心を隠すのは周りを作らないためにすれば、作らないのはやはり周りのため。自分に近づけば危害があると言いたげな――だったら、藤馬といる以上、藤馬にはそういったものが通用しないのか。
あんな男が渉にとっての“唯一の人”とは、少々顔をしかめてしまうが、あの男だからこそ渉も感情出せるのかもしれない。
「――、冬月」
立ち上がる冬月に、秋月は見上げて話す。
「やっぱ、あないな男に大事なお友達を任せておけへん。“僕と冬月のお友達”どす。同じ学校な分、冬月の方が一緒におる時間が長いやろうし、僕が見ていないとこでもわたるんはんと仲良うしたって」