さらば、ヒャッハー


周りのためと、わざわざ人間らしさを失う少年がどれほど優しく、どれほど悲しいと思わせることか。


昨晩、渉に『冬月と仲良くしてやってほしい』と言った時に見せた表情を秋月は覚えている。忘れようにもない。


今にも泣きそうな、けど、優しいが故に断れなく辛いと唇を震わせ、「はい」と口を閉じた瞬間に、瞼を深く閉じたことを。


周りを作らない少年がした、“忘れた頃に出てきた笑顔”を持って、少年自身、その心境の複雑さに後々困惑したことであろう。


人形の模倣ができなくなった、心を出してしまった人間はその久方ぶりさに“誰かといる喜び”を辛いと同時に嬉しいと思ったに違いない。


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