さらば、ヒャッハー
「みぞ、いだし……」
溝出に深い情を持ったつもりなんかなかった。
けど、思い出が長いんだ。
今まで一緒にいた月日。憎たらしくもあったし、鬱陶しくもあった、正直言って楽しいときなど溝出いびりをする時ぐらいなものだが、それでも溝出とは一緒の時間を過ごしてきたんだ。
「兄さん……」
狐面で隠れて兄の表情は見えないが、声色と震える指先だけで何を思っているかなんて分かった。
悲しい、ただ悲しい。共感したわけじゃないが、そんな悲しむ兄を見て冬月もぎゅっと拳を握り、自分の不甲斐なさを知る。
結局、何もできなかった。
冬月は兄に、兄は溝出に。無力だったと痛感する。
「みぞ、い……っ、ごめん……」
悲痛を絞り出した、今にも枯れそうな秋月の声は――