さらば、ヒャッハー


長年、妖怪退治屋でいたためか、妖怪を祟る妖怪はいないと――聞いたことがないからこそ、秋月には嘘と確信さえしたのだが。


「まあ、今の退治屋から見りゃあそうなんじゃね」


指を拭いたティッシュをゴミ箱に投げ入れた藤馬が、口直しにと青汁を飲む。


「因みに、わたるん。野槌って聞いて、何思い出した?」


「ツチノコです」


「都市伝説好きなだけあんねぇ。薄暗い趣味だからこそ、変な知識がつくってか?将来不安だなぁ、まあ、わたるんの将来なんてもうねえけど」


嫌味としか思えない口でも、渉はほっといてくださいと別段気にせず、胸元から手帳を出した。


春夏秋冬手記(ひととせしゅき)と通称された黒い手帳には、今まで渉が調べてきた都市伝説が書き連ねてある。


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