さらば、ヒャッハー


「野槌(のづち)だな、こりゃ」


「野槌……?」


「そーそー。この骨、野槌に祟られてるわ、悲惨だなぁ」


唾液がついた指をこたつ布団で拭く無作法者だと知ってか、渉がすかさずティッシュを渡す。


で、だ。
吟味した結果、野槌が祟っていると判断した藤馬だが――秋月には嘘と思えることだ。


「野槌やなんて、妖怪やないどすか。妖怪が妖怪祟るなんて、聞いたことありまへんわ」


妖怪退治屋だからこそ、野槌の呼称も理解できた。


短く太い、口しかない妖怪。柄がない槌に似ているからと、そう名付けられた妖怪だ。


仮にも野槌が祟るとして、その対象者が妖怪になるのか。己を狩ろうとした人間ならともかくも、溝出(同族)まで呪うことなど想像ができない。


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