初恋のキミへ。

「体育祭の後夜祭のときに、お互いのハチマキを交換して、薬指に結びつけるんたカップルは、永遠に幸せになれるんだって。」

「へーだったら、告白増えるんじゃないの?」

「そうなんだよ。だからさ、ハチマキ、交換しない?」

思わず裕也のほうを見てしまった。

え?
どういう意味?
裕也が私のこと好きってこと?
はたまたドッキリ?


「あのドッキリですか…?」

「どっきりで、んなこと言わねぇよ!!」

裕也は前を向いていて、顔はよく見えなかったけど、耳が赤かった。
そんな裕也が愛しくて、好きで、一緒にいられたらどんなに幸せだろう、と。
でもね、ごめん裕也。


「ごめん裕也。私好きな人いるから」
わざと冷たく突き放すような言い方をする。

「それって、大月ななせだろ?全部知ってんだよ。全部知ってる上で、お前に告白してるんだ。」


なんで知ってるの?
どうして?

なんで裕也がななせのこと知ってるの?
全部って全部?
私の親が死んだこととか、刺されそうになったこととか、私が人殺しだってことも、全部、知ってるの?

私の思考は裕也の次の言葉で止められた。


「オレさ、大月ななせの前世なんだよ。だから、ななせと俺は同じ。ななせのことが好きってことは、俺のことが好きってことだろ?んで、いつか俺本人を見てもらう。これで良くね?」


たとえ嘘でもいい。
嘘だったとしてもいい。
嘘でも、前世って言葉に、私は救われた。

ねぇ神様、私、幸せになって…いいかなぁ?


「裕也、ハチマキ、交換しよう?」
目に涙の膜が張る。

「…うん。永遠に、なろう。」



―――――確かに私たちはそこにいた。
永遠を信じていた。

そんな私たちは、まだ幼かったのかな?
永遠を語るには、少し早かったかな?

ねぇななせ。


私たちは、幸せに、なってはいけないの?

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