美味しい時間

ううんと首を横に振ってから、顔を上げる。
そこには、包みこむような微笑で私を見つめる課長がいた。

「怖いんじゃなくて……」

「じゃなくて?」

「不安? なのかなぁ。こんな気持ちになるのが初めてで……」

また少しだけ俯くと、課長の手が頭にポンっと乗せられた。
そっと目を瞑る。

「分かってるつもりだったんだけどな。俺が悪い、ごめん」

「そ、そんな……。私が子供だからいけないんですっ」

慌てて顔を上げる。

「お前を大切にしたいと思ってる。だから気持ちが決まるまで待つさ」

そう言って頭を撫で出した。

気持ちが決まる……かぁ。
身体は課長を欲している。経験のない私にもそれは分かっている。
でも気持ちがそれに伴ってくれない。

「はぁ……」

自分が情けなくて、溜息が出てしまった。
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