美味しい時間
……電話してこいよ……
……俺はお前と別れるつもりないから……
私の気持ちも知らないで、ほんといっつも勝手なことばかり言うんだから。
課長がそう思っていたって、どうしようもないことだってあるのに……。
目の前に彼がいたら、そう叫んでやりたい気分だ。
でも今は仕事中。まずは指示をしてもらわなければ先に進めない。
課長の声を聞くのが、怖いような嬉しいような……。
恐る恐る、携帯のボタンを押す。
コール2回で電話が繋がった。
『お前なぁ、かけてくるのが遅いっ』
いきなり文句ですかっ!
そう言いたい気持ちをぐっと堪えて、お決まりの言葉を返した。
「お疲れ様です。藤野です。◯◯建設の過去の売上統計が出ましたが……」
なるべく平常心で、普段通りの声をで出す。しかしそれも、次の課長の言葉で
一瞬にして保てなくなってしまった。
『百花。俺のことを信じろっ』